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せめて夢の中だけでも
第5章 静止の手。
「あっそ。いってらっしゃい」

彼の表情は至って普通だった。

沙織ちゃんはつまらなさそうな顔で
行ってきますとだけ、返事をした。



その時、後ろから隼人の名前を呼ぶ
受付の美人さん…

隼人の彼女だ。



お嬢様って言葉がお似合いなくらい女らしい。



「どうも」

彼女が頭を下げると私たちもかるく会釈した。



「じゃ。変なホストに掴まんなよ」


そう言って隼人は彼女と歩いていった。





…この後ろ姿を何度見ただろう…
何度、私が隣にいれたらと思っただろう…


あの日から三年経った今でも…

私は隼人に恋をしている…。







「センパーイ!行きましょ!」

沙織ちゃんの声に頷き
私は前へと歩き出した。
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