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せめて夢の中だけでも
第36章 埋めて、埋めて、埋め尽くして。

「もう…私、トイレね。」


朱里さんがピンヒールを鳴らしながら
奥の化粧室へと消えていく。



「もうっ。秋雨っ!余計な事を!」


「…そう?」


ゆっくりとカウンター越しの秋雨の顔が近づいて来る。


「凛ちゃん…これでも俺、嫉妬してるんだよ?」

「っ!!」


「凛ちゃんの過去の男に
かっこ悪い程嫉妬してる。

正反対の晴男だからね。」



「秋雨…?私は…もう晴は…」



「知ってる…いじめてみたくなっただけ。」



目線を私の後ろへと移し
ゆっくりと体を離した。



後ろからは朱里さんがフラフラとこちらへと戻ってきていた。




「朱里。飲み過ぎ。もう帰れよ。」


「嫌よ。最後までいるわ。
ね?凛。」


大きな瞳で私を捉える。
何故か…頷くことしか出来なかった。
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