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せめて夢の中だけでも
第36章 埋めて、埋めて、埋め尽くして。
「あんたねっ!自分がどれだけ女の視線を
集めているか自覚したことあるの!?」
「そんなの…知るか」
秋雨には珍しく…荒い口調だ。
朱里さんの前では、これが日常茶飯事なのだろうか。
「あんたが目立った事して
今の時期に売り上げが下がるのも困るし!
凛にその矛先が向いたらどうするのよ!」
「そんなの…俺が守るしかないでしょ?」
「女の世界…そんなに甘くないのよ!」
バンっと机を叩いて威嚇する朱里さん。
椅子に座っている秋雨を見下ろしている。
その朱里さんの顎に手を添えて秋雨は笑った。
「だな…。お前は…その世界を一度見ていたな…」
「そうよ…」
「悪かった…凛ちゃんには危害を加えてもらいたくない。
店ではおとなしくするよ。」
そう言って力なく溜息を吐いた。
きっと…朱里さんは…
この世界の黒い部分も見てきたんだ…
そう思うと…目の前のこの人達は
とても強い人たちなのだと思った。