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せめて夢の中だけでも
第36章 埋めて、埋めて、埋め尽くして。


「……ねぇ。朱里。」


そっと秋雨は口を開いた。



「だったら…ここなら凛ちゃんを
抱きしめていい?」



「はっ?」



秋雨の視線がユックリと私へと移される。




「俺…凛ちゃん不足なんだよね…

誰かのせいで…お預けくらってたから。」


「私のせい…とでも言いたそうね…」

今度は朱里さんが溜息をつき
手のひらをヒラヒラと泳がせ事務所から出て行った。




事務所には…私と秋雨の二人きりとなった。



秋雨の真っ直ぐな視線が…
私の胸を踊らせる。






「おいで。」



その一言で…わたしの足は軽々と
その声の方へと進んでしまう。



目の前に立つと椅子に座ったままの秋雨が
私の腰へと手を回し抱きついてくる。



「…凛ちゃん…」



愛おしそうに私の名前を呼ぶ彼が…

私には何よりも愛おしい。
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