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せめて夢の中だけでも
第36章 埋めて、埋めて、埋め尽くして。


10分くらい経っただろうか
事務所のドアがノックされた。


「何?」

秋雨が低い声で返すと、
案の定、ドアの向こうには女性の声だった。

「タイムオーバーよ。あなたの帰りを待ってる
お姫様が沢山いるわ」



「…ちっ。そんなの凛ちゃん以外いないよ。」



そう言いながらも秋雨は私から離れ
ドアを開けに行く。



ドアの向こうには朱里さんが腕を組んで立っていた。


「秋雨。あなたはプロなのよ。
はい!行った、行った。」



目の前を通る秋雨の腰を何度か叩きながら
朱里さんはこちらを向いて笑った。



「凛。あなたも…彼女らしく…
強くなりなさい。」



そして、ドアがパタンっとしまった。





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