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せめて夢の中だけでも
第36章 埋めて、埋めて、埋め尽くして。

「…帰ろう。


仁さんはあぁ言うけど…
本当は俺が早く…抱きしめたいだけだよ。」



優しく私の腕を掴むと何も言わず
ドンドンと進んでいく。


あまり、使う事がない裏口から出ると
そこにはすでに秋雨の車が用意してあった。



「乗って。

早くしないと…ここで抱くよ」





…余裕がない…その事が
私にも痛い程伝わってくる。


私が助手席に座ると
扉を閉め、微笑んでくれる。

どこか切なげで…愛おしい。





…あれ?でも秋雨の家…すぐそこじゃない…




そう思ったのも束の間、車は全くの
逆方向へと走り出した。



「凛ちゃん…今日はずっと俺のものだよ。」



夜の高速道路を走り…
眩い光が私達を包んでいく。





着いた先は…




真っ暗な海だった。
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