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せめて夢の中だけでも
第36章 埋めて、埋めて、埋め尽くして。
秋雨が車を降りて…
砂浜の方へ歩いていく。
私も慌てて後を追うように
車から降りた。
深夜ということもあり…誰もいない。
秋雨はコンクリートの階段へと腰を下ろすと
そのすぐ隣をトントンと叩いた。
私はそのままその隣へと座る。
ただ…何も話さず…
波の音だけが響いていた。
最初は暗くて何も見えなかった目も慣れて
秋雨の顔がハッキリと浮かび上がる。
「凛ちゃん…。」
そう口を開いて、私の方を向く。
「色々…ごめんね。」
「…何言ってるの…いいの。そんなの。」
秋雨が耐えていたことに比べたら…
私はただ…待っていただけだもの。
「…もう…離さないから。」
そう言って真っ直ぐ、正面を向きなおした。