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せめて夢の中だけでも
第5章 静止の手。
しばらくは沙織ちゃんと何気ない会話をしていた。





しかし、急に話題を変える。




「先輩って…田中先輩のこと好きですか?」


誤って口の中にあるサラダを沙織ちゃんに
吹っ掛けてしまうところだった。


「なっ!何!?いきなり!」



「いえ…仲良いとは思ってましたけど…
先輩、男っ気ないし…田中先輩なのかなって」



私ってそんなに男に興味なさそう…?



「…隼人は優しいけど…彼女いる時点で
対象外よ!」


「ふーん…」

沙織ちゃんは綺麗な瞳で私をじっと見つめる。
そして、ニコッと笑った。



「嘘下手くそ♡」



カァァッと顔が熱くなった。


「彼女いたって奪えば良いんですよ。
結婚してるわけじゃないんだから!
沙織なら絶対そうするけどな〜。」


カクテルを飲み干した沙織ちゃんは
次なるカクテルを頼むため机の上の
ボタンを押した。




向こう側から現れた人は紛れもなく…



秋雨だった。
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