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せめて夢の中だけでも
第38章 知らないあなたも私は知りたい。






1時間ほど経っただろうか、
ユウキ君が頭を下げカウンターを後にした。




そして…
替わりに秋雨が一例をして
カウンターへと入る。



わぁ…と女の子の声が聞こえる。
いつも常に一緒にいるはずの私でさえも
秋雨に見とれて何も言葉が出なかった。



チラッと私をみた秋雨は私とは逆の方へ行く。
替わりに目の前には壱君。




「眼鏡…」



そう呟かれて壱君の方を見る。

「今日は秋雨さん、眼鏡してますね。」

「そうだね…」


「これじゃ、俺の主役取られちゃうよ」


ハハっと短く笑う壱。それにつられて私も笑う。



「なんで秋雨さんなんですか?」




その消え去りそうなほど小さな声が
私の耳へと届いた。



「えっ?」



「秋雨さんの何が好き?」




笑っているけれど…笑っていない壱君。



そして、





「凛さんの知らない秋雨さん、教えてあげようか?」



低い、低い一言だった。
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