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せめて夢の中だけでも
第38章 知らないあなたも私は知りたい。
「俺の家族の話。
聞きたい?」
「もちろん」
「いいもんじゃないよ?」
「大丈夫。」
そっかっと小さな声が聞こえて
秋雨を覗き込むだか、
彼の表情はいつもの何ら変わらない。
「俺の父親は、俺が五歳の時に死んでる。
顔はあんまり覚えてない。
でも、普通の会社員の普通の家庭だったらしい。
そのあと…母親が育ててくれた。
働き詰めだったから、あまり構ってもらった記憶がない。
10歳の時に母親も死んだ。
だから、俺には…もう両親はいない。」
「……………」
「で、兄弟は兄貴が1人。
五歳上だったから仁さんと同じくらい。
そいつも、今何してるのかは、知らない。
だから…
俺の家族は凛ちゃんだけだよ。」