この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
せめて夢の中だけでも
第38章 知らないあなたも私は知りたい。
「思い出させてごめんね…」
「別に。もう子供じゃないし
家族は今は凛ちゃんがいるから。」
私が笑うと秋も微笑んでくれる。
「俺の名前は…母親がつけてくれたらしい。
雨は…暗いイメージがあるって親父が止めたんだって
小さい頃母親が話してくれた。
母親は…
雨は草や花に生命を与える。
必要なのは太陽だけじゃない。
生まれた俺が…
誰かの支えになれるようにって言ったらしい。」
「素敵ね…。」
「兄貴の名前は夏輝。
夏の晴れた日に生まれて…
輝いていたからだって。」
「…秋雨?」
秋雨が不意に俯いた。
そして、泣いているのか…肩が揺れた。