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せめて夢の中だけでも
第38章 知らないあなたも私は知りたい。

…久しぶりに残業になり、その帰り隼人に捕まった。

最近、全然飲めていなかったし
快く承諾しいつもの居酒屋に向かった。



「どうよ?アイツとは?」

ジョッキをぶつけ、乾杯をする。
一気でビールを流し込み多いく息を吐いて隼人は聞いてきた。


「ん?普通だよ?」


「ふーーーん。」



しばしの沈黙の後、少し顔を歪ませ
言いづらそうに隼人が付け加えた。


「なら、あの女は何だ?」

…………?

一瞬にして思考回路がショートしてしまった。
ゴトッとジョッキを置くと、手が微かに震える。

目の前の隼人は真剣で嘘をついているようには見えない。



「お…女って…?」

「後ろ姿しか見てねぇけど、黒髪の髪の長い女だよ。腕に手を回して、歩いてたぞ。」


すべてのビールを飲み干すと、次の物を注文する。
私のビールはまだ一口目だ。


「見間違いじゃ?」

「あいつの顔を見間違える顔かよ?」


…そりゃそうだ。
アレだけ整っている人はそこら辺にはいない。
それは私が一番わかっているはずだった。



「まぁ、聞いてみたほうがいいぜ。
浮気なんて結婚前に冗談じゃねぇだろ。」


隼人の言葉が頭をグルグルと回っていた。
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