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せめて夢の中だけでも
第38章 知らないあなたも私は知りたい。
それからと言うもの、壱君と二人きりの空間は…気まづい。
相変わらず、お弁当も作ってくれるし
掃除もしてくれている。
…洗濯はさすがに断った。
「おい。秋、まだ花子を家で飼ってんのか?」
タバコを吹かしながら仁さんは秋雨に聞く。
「うん。どうにかしたいんだけどね…」
少し困った顔で笑うと
仁さんも眉を下げた。
「お前に惚れてるのはわかるが…なぁ…」
お店でそんな話をされていることなど知る由もなく
私は今日も…この犬のような彼と机を並べている。
「花子ちゃん、仕事は?」
「今日は休みなんです。」
「…そう。」
作ってくれたオムライスの端を潰すと
壱君が話しかけてきた。
「ねぇ…秋雨さんに抱かれるの気持ちいい?」
「は?」
変な声が出たのは自覚してる。
顔が赤くなるのもわかっていた。
壱君はぐいっと机越しに顔を近づけてくる。