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せめて夢の中だけでも
第38章 知らないあなたも私は知りたい。
「な…何…。」

「この際…間接的でもいいかなって」

私の唇に、そっと指を添える。
ニヤッとイタズラに笑った壱君の表情に驚いた。

慌てた私はバランスを崩し
オムライスの皿を傾けてしまった。
その拍子で、机に手をついていた壱君にケチャップが飛んだ。

その手を見て
あーぁ。と笑いペロっと舐める。




「俺だって…男なんだけど。」


低い一言だった。
顔がもう、熱いと言うだけでは足りず
堪らず家をそそくさと飛び出した。







足早に近くのコンビニエンスストアで
ココアミルクを買い一気に飲み干した。


…なっ…何なの…。

まだ動揺しているのか心臓が脈打っている。



大きな溜息を吐くと少し追いついてから
家へと戻った。
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