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せめて夢の中だけでも
第38章 知らないあなたも私は知りたい。
突然だった。
…壱君の手が私の手首を掴み力を入れ引いた。
私は壱君に正面を向く形になり
そっと彼の手がまた近付いてくる。
顔を背けると、彼の指は私の口の端をクイッと拭った。
「…子供みたい。ケチャップつけて。」
「えっ…あっ…あぁ…」
そういう事かと安堵した時…
そのままソファーへと押し倒されてしまった。
組み敷かれた私は壱君を見上げる。
しばらくは時が止まったようだった。
「言ったよね?俺も、男だって。」
「…壱君はでも…」
「あぁ。ゲイだよ。
…でもただのゲイじゃないんですよ。」
顔を接近させ、口角をあげ笑う。
背筋がゾクッとした。
「…バイセクシャルなんですよね。」
そして、私の唇に自分の唇を重ねた。
「いやっ…」
…バイセクシャル…
それは…男でも女でと恋愛対象だという事。
「秋雨さんはこの事は知らない。」
顔を背ける、私の首筋にそっと下を這わす。
「…っやめっ…て!」
そした、軽く首筋を噛んだ。
チクっとした痛みが走る。
怖い…怖い…怖い…
秋雨…!