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せめて夢の中だけでも
第38章 知らないあなたも私は知りたい。
「…秋雨さんは、仕事だから助けには来ないよ?」
そう顔を近づけて来る。
その顔を私は思い切り平手打ちをした。
パシンッと軽い音が部屋に響いた。
顔を叩かれても彼は笑っている。
私の腕は壱君の手に掴まれてビクともしない。
その間にも空いた片手は私の服の中を弄る。
「やっ…やめてっ…」
「そのうち良くなる。」
足をバタバタと動かし私は何とかして壱君から逃れようとした。
そんな私に壱君はただ見下ろしている。
漆黒の闇のような瞳が私を映し出していた。
「助けてほしい?
…なら秋雨さんを頂戴よ。」
くしゃっと歪んだ顔は少年のようだった。
私はその瞳を真っ直ぐみてユックリと首を横に振った。
「私は秋雨が必要なの…」
「そっか…」
そう言うとユックリと私から離れ、
でも解放された。
そして、ユックリと頬を触ると
短いキスを私の頬に落とした。