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せめて夢の中だけでも
第38章 知らないあなたも私は知りたい。


「…凛さんはタチが悪いよ。」

そう言って私の首筋に顔を埋めた。


「…嫉妬なんてしたことなかった。あの人の周りはあの人の顔だけに寄ってきた似つかわしくない女ばかりだったから。」


そう顔を上げ、見下ろしそっと私の唇に指を這わす。


「…タチが悪い。」


そして、眉をひそめ笑う。
『苦痛』を表す笑顔。


「…俺でさえも…凛さんが、欲しくなる。
そのくらい…凛さんは綺麗だ。」



とっさに顔を背けキスを拒むが
それを気にもしないのか頬に口付けた。


「秋雨さんが好き…?」

「えぇ…好きよ」

「凛さんの知らない秋雨さんはいないはずだよね…」

「…どういうこと…」




「だって…秋雨さんは凛さんに溺れてる。
心も何もかも曝け出してる。

…営業中では見れない笑顔をあなたにだけ向けてる。

スタッフの俺たちだって…あんな顔見れない。


秋雨さんは…変わった。」


私の頬に手のひらを当て
彼はいつもの笑顔で可愛く笑った。
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