この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
せめて夢の中だけでも
第38章 知らないあなたも私は知りたい。
「それで…起きてたの?」
コクンと頷くと秋雨は、すこし屈んで私の目線を合わせた。
「花子ね…店に来たよ。
今日あった事も教えてくれた。
花子はもう…地元に帰るらしい。」
「…っ。何で…!」
「俺との思い出は…ちゃんとあげた。」
「何を…?」
秋雨は柔らかく笑い人差し指をそっと
自分の口へと当てた。
「お別れのキスだ。」
「えっ…」
「そっちに目覚めたらどうしようね…?」
秋雨は私の耳元でそう呟いた。
私の目からはポロポロと、涙が溢れた。
壱君の気持ちはきっと普通の恋する女の子達と同じ。
ただ…性別が違うだけ。
誰もが平等にもつ、恋する気持ち。
それから…しばらくして壱君がマンションにきた。
前にも見た…ストレートロングの可愛らしい女の子の格好をして。