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せめて夢の中だけでも
第39章 一生俺のもの。
「で?で?何があったんですか?」
「えっ、あぁ。」
ついさっき持ってきてもらったビールを一口流し込む。
「籍入れようかって言われたの。」
「キャァァァ!本当ですか!?」
沙織ちゃんの叫び声が店内に響いた。
っといっても居酒屋だから周りも騒がしい。
「で?で?いつですか?」
「来週…挨拶に…」
そう言った瞬間、個室の引き戸が開かれた。
そして、頼んだ品がテーブルの上に、静かに置かれた。
その皿を持った手を見て…
その手から腕…腕から顔に移った瞬間…、
息を飲んだ。
「えっ…」
黒髪で…鼻筋が通り、
目の形も、口の形も…似ている。
…秋雨に似ている…
その彼が笑い、ごゆっくりと呟いた。
その笑顔も…またそっくりなのだ。
引き戸が閉まると沙織ちゃんが
少し興奮気味だった。
「今のが店長さんなんですよ!
似てません?五十嵐さんに!」
沙織ちゃんも同じ事を思っていたようだった。