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せめて夢の中だけでも
第39章 一生俺のもの。

「沙織ちゃん?ここ、最近オープンしたの?」

「そうですよー?一ヶ月前かな?」


秋雨はお兄さんがいると教えてくれたけれど…
何をしているのか解らないっと言っていた。



その後も何度かこの個室に来たけれど…
名前を聞くことはなかった。





「あー!楽しかった!先輩、そろそろ帰ります?」

「そうね、そうしよっか?」

「私、トイレ行ってきますね!」


そう言うと沙織ちゃんは個室から出て行った。
お勘定のブザーを鳴らすと、あの彼が入ってきた。


頼んだものを機械に打ち込み
金額が書いてある紙を私へと渡した。

紙を渡された時、少しは指先が触れた。

「あの…」

そう私が口を開くと彼の目が細まった。

「はい?」



「お名前は…?」


彼の口角が少し上がり




五十嵐です。とその口は私へと伝えた。
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