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せめて夢の中だけでも
第39章 一生俺のもの。
「秋雨の婚約者…?嘘だろ?」
彼の顔は固まっているという言葉がピッタリだ。
信じられないと顔に書いてあるようだった。
「…本当ですけど…」
少し遠慮気味に私が答えると、彼はため息をもらした。
「…騙されてないか?」
なっ…!
私が言い返そうとすると、それよりも先に沙織ちゃんが食ってかかっていた。
「先輩は、秋雨さんに、んもうっっスッゴイ愛されてるんです!騙されるなんてないですね!」
その言葉に、彼は優しく微笑んだ。
「そうか…なら良い。悪かったね。」
秋雨よりも少し低い声。
口調は兄弟だからなのか似ていた。
「俺は夏輝。君の言う通りの名前だよ。
…また会おう。お姫様。」
そう言って店の外まで見送ってくれた。
外に出ると沙織ちゃんが不思議そうに聞いてきた。
「先輩、何であの人の名前知ってたんですか?」
「…あの人、秋雨のお兄さんよ。」
「………へぇ……えっ?えぇぇぇー!?」
外を歩く人たちが私達に注目する。