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せめて夢の中だけでも
第39章 一生俺のもの。


そして、出迎えたのはやはりあの人…


「いらっしゃ……」


笑顔が一瞬で消えた。




「嘘だろ…兄貴…」

「秋雨か…」


あぁ。と秋雨が頷くと夏輝さんは
秋雨に抱きついた。



「ちょっと…気持ち悪いって!」

「会いたかったんだ…秋雨!」


その言葉に秋雨の腕が力なく垂れ下がった。
そして…


「あぁ。俺もだ」


確かにそう言った。




何かのパフォーマンスか?と個室から
ちらほらと顔を出すお客さん。

恥ずかしかったのか咳払いをすると

私たちを個室へと案内してくれた。



「秋雨…ゆっくりしてけよ。
この子の事も聞きたい。」

私に優しい視線を向けると
秋雨がまたあぁ。と答えた。

普段からそこまで話す人ではないが
今日はいつにも増して無口だ。


「秋雨…?大丈夫?」

心配になり私が一番尋ねるといつもと変わらない笑みを見せる。

「大丈夫だよ。」


夏輝さんが個室から去ると
秋雨は体制を崩し、後ろに手をつき
顔を天井へと見上げるようにあげた。
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