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せめて夢の中だけでも
第39章 一生俺のもの。
「ちょっと!」
私が止めにかかると
その横で夏輝さんは笑っている。
「お熱いことで」
「もうっ…すいません。」
良いよだと片手を上げ私に笑う。
「兄貴、俺結婚するから…」
「そうか。そりゃ。おめでとうだな」
「式…きてくれる?」
「もちろん。」
ホッとした顔を見せた秋雨を私は見逃さなかった。
そうだ…秋雨には両親がいない。
だからやっとお兄さんに会えて嬉しいはずだ。
「ごめんな、秋雨。少し忙しいんだ。
また会おう。これが、俺の連絡先だ。」
そう言うと夏輝さんは仕事に戻っていった。
「凛ちゃん…ありがとう。」
「私は何も…それなら沙織ちゃんに…」
「次は…凛ちゃんのご両親だね。」
秋雨が目を細め私の髪に手を伸ばす。
その手に、そっと触れる。
私は…幸せ者なのだと実感する。
毎日、秋雨に恋をしている。
もう片思いだと悲しむこともない。
そして、秋雨にも悲しい思いはさせない。