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せめて夢の中だけでも
第39章 一生俺のもの。
そして…時計が7時を回った頃だった。
玄関から、「ただいま。」と声が聞こえる。
…お父さんが、帰ってきた。
リビングに入るドアのノブが回さられ
スーツ姿の父が入ってきた。
秋雨は私と共に席を立ち
頭を深く下げた。
父は少し秋雨を見た後
スーツのジャケットを脱ぎ、それを椅子へとかけた。
誰しもが緊張し、シンッと空気が張り詰める。
「おつかれ様、お父さん」
その空気を変えたのは、母だった。
「今日はね…凛が素敵な人を連れてきてるのよ。」
「あぁ。そうみたいだ」
父は頑固なわけでもないし、寧ろ…
温厚な方だと思う。
姉の杏の結婚の時も…
反対という言葉は出なかった。
父は再度、秋雨へと視線を向けると
「君、名はなんと言うんだ?」と聞いた。
「五十嵐です。」
「下の名前の方が良いかな」
そう父が穏やかな顔で聞くと
秋雨は、緊張した面持ちだった。
「秋雨です」
「秋雨君か、私は着替えてくるから
椅子にかけて先に夕食を食べなさい。」
そう言って二階の寝室へと上がっていった。