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せめて夢の中だけでも
第40章 wedding…

…そして、更衣室のカーテンが開かれた。




薄いグレーのタキシード姿の秋雨。
胸には白い薔薇の花を刺して。




王子様そのものだと思った…。



周りの新婚夫婦であろう花嫁も
秋雨をチラチラと見る。
スタッフの若い女性もわぁ…と声を出す。


何度も…何度だって経験した反応。




昔は…嫉妬だったけれど、
今は優越感の方が勝っている。




…私の…私だけの旦那様なのよって。



「どう?カッコいいでしょ?」


そう笑って私に近づいて来る。
頬を染めて頷くと、秋雨らまたクスッと笑う。


担当の人が細かい歪みやヨレを直していく。
それを見る、俯き加減の秋雨は…


色っぽい。



「どうですか?黒も試してみます?
白もありますよ?」


秋雨は私を見た後、

「いえ、グレーで。
白は花嫁の色だし…黒は俺には目立ち過ぎる。」



鏡を見ながら、
少し斜めを向いたり鏡を覗き込んだり秋雨は忙しい。



「次は凛ちゃんの番だよ?」



そう言われ、純白のウエディングドレスが並ぶ場所まで手を引かれる。


レースがあしらったもの。
ドレスが花の形に絞られたもの。


選び出したらきりがなかった。


「凛ちゃんは…顔が柔らかいから
可愛いめのを着てもいいかもね。」


そう言って、秋雨が選んだのは
フワフワと何段にも重なり
後ろには大きなリボンが付いていた。

胸元はシンプルで、ネックレスが生えると
担当の人も笑う。
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