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せめて夢の中だけでも
第41章 another story。side秋雨

「苦しい言い訳…」

それもそのはずで、
俺はこの店では結婚したことは明かしていない。
そのせいで指輪をはめさせてくれない。

「本当だよ。妻がいる。」

「ふぅーん。浮気くらいいいじゃないの。」

「いや、無理だよ。」


そう言い残し、俺は彼女のテーブルから離れた。




「あの子、そこのホステスの子だろ?
いつ、手出してたんだよ。」

「ん?忘れた。多分…一度きりだと思うんだよねぇ…」

「お前なぁ…」

「わかんないよ。凛ちゃんと出会って…
どの女の子の誘いも断ってた。」

「へぇ、へぇ」

「ねぇ、仁さん…頼みがあるんだけど」

「ん?」

「このところずっと、帰るの5時なんだよ。
凛ちゃん不足なんだ…今日0時で上がって」

「ダメだ。」


話を途中で遮られ、
仁さんはカウンターから出るとテーブル席へと向かった。


「はぁ…」

俺はため息をつくと、
仁さんの後について行く。
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