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せめて夢の中だけでも
第41章 another story。side秋雨

外で待っていると
ロビーのエントランスの真ん中をパタパタと
小走りで走ってくる凛ちゃんの姿を。


『体調が良くないみたいだ…』


隼人君の言葉が頭から離れてはくれない。


「秋雨。ごめんね、待たせたね」

俺の目に移る凛ちゃんは、いつもと変わらない…

ように見える。




…顔色も普通だ…笑っているし…
具合が悪そうなことなんて…


俺は何も言わず、凛ちゃんの手を握った。


「帰ろうか…」

そう言うと、少し不思議そうに凛ちゃんが
首を傾げた。



手を繋ぎならが歩くなんて…
どれくらいぶりだろうか…

横の凛ちゃんを見ると
少し俯いて微笑んでいる。




「ねぇ、秋雨。
…ご飯食べていかない?」

「えっ?でも…凛ちゃん…」

「ん?どうしたの?」


…今日は体調は大丈夫なの?



たったそれだけが聞けなかった。


「いいよ。何食べる?」

「あのね、近くにハンバーグが美味しいお店があるの!秋雨と行きたかったんだ」


可愛い笑顔を見せて、繋いだ手を振る。


その手に力を込めるとまた、凛ちゃんは笑った。
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