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せめて夢の中だけでも
第41章 another story。side秋雨
二人向かい合わせで座り
同じものを頼んだ。
俺がハンバーグを食べる度に、
凛ちゃんは優しく笑っていた。
「食欲出てきた?」
「えっ?」
別に食欲がないわけではなかったけれど…
何でそんな事…
「ほら、秋雨…あまり食べないから。」
「あぁ…ごめんね。」
凛ちゃんは笑って、ううんと首を横に振った。
俺が全部食べ終わっても
凛ちゃんはまだ半分程度だった。
その鉄板のプレートを見つめていると
凛ちゃんはフフッと笑って
「食べる?もうお腹いっぱい。」
そう残りのハンバーグを俺のプレートに移した。
「凛ちゃんこそ大丈夫?」
一瞬…凛ちゃんの表情が強張ったような気がした。
「女の子だもの、秋雨みたいには食べれないよ」
そう言って、俺のサラダの入っていた皿から
残してあったトマトを取り、口へと入れた。
「トマト、残すのやめてよね」
違和感…この凛ちゃんの消え入りそうな笑顔は…
何だ…。