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せめて夢の中だけでも
第41章 another story。side秋雨


食事が終わり、また二人並んで
家まで歩き出す。



少し前を歩く凛ちゃんが時々俺の方へと振り返る。



「暑くなってきたね〜」

「もう、6月だからね」



そう笑うと、凛ちゃんは
俺の腕に手を回す。



「引っ付けなくなっちゃうな…」


「何で?一年、俺のここは空いてるよ」


「何それ?お笑い芸人のマネ?」


クスクスと笑う、凛ちゃんの顔は
どこなく蒼白かった。





「凛ちゃん…好きだよ」




そう言うと、掴んだ腕に力が入った。




「…知ってるよ?」

「凛ちゃんは?」





「大好きよ…」




…足りない…足りない…



「凛ちゃん…抱きたい。」


「…そればっかり…」



笑う凛ちゃんの頬にキスすると
彼女の目が見開く。





「早く帰ろう」




微笑むと凛ちゃんも笑ってくれる。

その当たり前が嬉しくて…

俺は隼人君の言葉を、飲み込もうとしていた。
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