この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
せめて夢の中だけでも
第41章 another story。side秋雨
食事が終わり、また二人並んで
家まで歩き出す。
少し前を歩く凛ちゃんが時々俺の方へと振り返る。
「暑くなってきたね〜」
「もう、6月だからね」
そう笑うと、凛ちゃんは
俺の腕に手を回す。
「引っ付けなくなっちゃうな…」
「何で?一年、俺のここは空いてるよ」
「何それ?お笑い芸人のマネ?」
クスクスと笑う、凛ちゃんの顔は
どこなく蒼白かった。
「凛ちゃん…好きだよ」
そう言うと、掴んだ腕に力が入った。
「…知ってるよ?」
「凛ちゃんは?」
「大好きよ…」
…足りない…足りない…
「凛ちゃん…抱きたい。」
「…そればっかり…」
笑う凛ちゃんの頬にキスすると
彼女の目が見開く。
「早く帰ろう」
微笑むと凛ちゃんも笑ってくれる。
その当たり前が嬉しくて…
俺は隼人君の言葉を、飲み込もうとしていた。