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せめて夢の中だけでも
第6章 現実か空想か
「…そうだね…頑張ってみる」
そう笑い返した。それが精一杯。
やめとけと言ったり…頑張れと言ったり…
もう隼人がわからないよ。
エントランスにはもう誰もいなかった。
社員用の時間外出入り口から出て
私は真っ直ぐ家へ帰ることにした。
駅の周辺はまだ人で混雑していた。
駅から少し歩いたところにある彼の店…
ふとそちらの方向を向いた時だった。
確実に…私の前を横切り歩く彼女は…
橘 麗華。
隼人の彼女だ。
店の方へと歩く彼女を見て…
昨日の彼女の驚きに満ちた表情が
頭をよぎった。
私の足は一人でに彼女の後を追いかけていた。