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せめて夢の中だけでも
第7章 無言の協力
「…わかった…」
そう言って私はロビーへと出て
彼へと電話をかける。
昨日の光景が脳裏をよぎる。
コール音が何度も繰り返される。
とても…長い時間に思えた。
『…はい。』
寝起きのような低い声が聞こえた。
「あっ…寝てたの?」
『ん。大丈夫。今起こされたから。』
「えっ…?」
『ん?凛ちゃんに今、起こされた。
で、どうした?』
「あっ…あのね…少し仕事で
探してるお酒があって、秋雨さんなら
在庫があるところわからないかなと思って…」
『…なんて酒?』
「水芭蕉」
『あぁ。何本いる?』
「限定品だから30あればいいって」
『なら店にあるよ。取り置いで。』
彼の優しい口調に不安がなくなっていく。
「30…あるの?」
『うん。でも2時間くらい時間ちょうだいね』
「代金は会社から後ほど連絡します」
『いらないよ。お金なんて』
「だめよ。あれ結構、するものでしょ?」
『なら…凛ちゃんの体一晩貸して。
思い出させてあげるから』
電話の向こうの彼はクスクスっと笑った。
「〜〜〜!また電話しますっ!」
私は慌てて電話を切った。