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せめて夢の中だけでも
第8章 叶うなら彼の側に
「秋雨、モテると思いますよね?
確かに女は寄ってきます。
でもね…彼、私だけ見てくれてるんですよ。
だから、近づかないでくれません?」
そこまで聞いてようやく、声が出てきた。
「…隼人…はどうなるのよ?」
「隼人の事ももちろん好きですよ。
でも、秋雨の魅力を知ったら離れられないんです。
斎藤さんだって、秋雨に抱かれて
そう思ってるんでしょ?」
「私は彼に抱かれてなんていないわよ!
一緒にしないで!」
「だったら…もう秋雨の周りをウロウロしないで。」
そう言い残し彼女は先に出て行った。
パタンとしまった扉を見つめて
私はその場に崩れるように座った。
「何なの…何なのよっ…」
「…っく。うっ…うぅ…」
悔しくて涙が溢れてくる。
好きなわけじゃない…
ただ悔しいだけなの…
そう自分に言い聞かせていた。