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せめて夢の中だけでも
第8章 叶うなら彼の側に
ーー秋、今日凛ちゃんに会えるって楽しみにしてるーー




その一言。






今日の仕事がうまくいったのは
紛れもなく彼のおかげ…

最後に…恩返しがしたい。



「凛。行くのか…?」



「うん。隼人。行ってくる…」



「凛。終わったら連絡して。」



何処か弱々しい隼人。



…ごめんね。隼人。



私は隼人に背を向けて
秋雨の待つお店へと向かう。







店に着き入り口のドアを開けると
いつもより客が多く静かなイメージが一変
音楽が鳴り響きとてもうるさかった。



「何…これ。」


「あっ。凛ちゃん。
来てくれたんだ。」


仁さんが私を見つけて駆けつけてくれる。


「来て…。」



腕を引っ張られて連れていかれるのは

奥にもあるカウンター。



可愛い女の子たちに囲まれながら
彼はバーテンダーをしていた。

黒縁メガネをかけて俯き
シェイカーを振る彼は…どこか遠くの人に思えた。




その姿を見ているだけで胸の奥が熱くなる。





…彼のこと、もっと知りたい…


それが私の素直な気持ちだった。
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