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せめて夢の中だけでも
第8章 叶うなら彼の側に
「今日は月に一度の秋のイベントなんだ。」


「月に一回?」


「本当は秋は、滅多に店に出ないよ。」



…そういえば友香が見たことないって言ってたっけ。


「でも、秋目当ての女性が多いから
こうやって秋がバーテンダーになってるんだよ。


まあ、最近は少し秋も店にいるからね。

そこまで希少価値はなくなったかもね」


ハハハっと爽やかに笑う仁さん。




彼は慣れた手つきで作ったカクテルを
グラスに注いでいく。

綺麗な緑色したカクテルが
彼女たちの前に差し出された。




恋する乙女…そんな言葉がお似合いの
そんな表情をして秋雨を見つめる彼女たち。




彼女たちは秋雨のどこまで知ってるの…?
名前は?
歳は?
連絡先は?




私は秋雨の心のどこにいるの…?




目と鼻の先にいる秋雨の視界にも入れない。



そんな自分が情けなかった。
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