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せめて夢の中だけでも
第9章 覚悟を決めて
事務室から、ゆっくり顔を出し
店内を見渡すとカウンターにもたれながら
秋雨は、ウィスキーを飲んでいた。
私に気付いたようでカウンターに、
グラスをおき、こちらへと近づいて来る。
「どうしたの?」
「あの…秋雨さんにお礼っ…したくて…
だから…覚悟きめ…ました。」
恐る恐る秋雨の顔を伺いながら
最後まで言い終わると彼は見る見るうちに笑顔に変わる。
そしてが勢いよく私へと抱きついてきた。
「なら早く帰ろ!」
彼は事務所のドアを開け
中にいる仁さんに
「仁さん!帰るから!」と満面の笑顔で手を振った。
「ハイハイ」と解っているのか
手を振り見送ってくれた仁さん。
「行こう…」
秋雨は、私の手を引いて店を出た。
きっと…私たちは始まったばかり…
私はしっかりと秋雨の手を握り返した。