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せめて夢の中だけでも
第2章 出会い。
パーマがかかった髪を後ろに流し
ベッドの端から黒縁メガネを取る。




ポカーンと開いた口が塞がらなかった。



「…カッコいい…」



心の声が出てしまっていた。

その声に彼はクスリと少し笑った。




「気をつけて帰ってね。

楽しい夜をありがとう。凛ちゃん」



そう言うと彼は私の唇に
そっとキスをした。



「なっ……っ!」


顔が真っ赤になった私を
彼は優しい眼差しで見つめていた。








外に出てビックリ。



俗に言う一等地に建つマンション。

どうやら、そこに私はいるらしい。


無言でただひたすら付いていく私を
彼は時々、後ろを振り返って
存在を確認する。




駅まで見送ってもらうと…


何事もなく…何とも呆気なく別れた。
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