この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
せめて夢の中だけでも
第10章 真っ黒な空
「何…」
さっきの相手とはまるで違う
不機嫌そうな声だった。
「仁さん…まだ7時なんだけど!」
…仁さん…
電話の相手が仁さんだと解ると
何故かとってもホッとした。
「えー…また今日も店?俺休ませてよ。」
「わかった…ハイハイ」
電話が終わると彼はベッドの中へと戻ってきた。
私にキスをすると
「おやすみ」といってまた反対側を向く。
相当疲れているのか…すぐに寝息へと変わっていた。
私はそっとベッドから降りると
彼の寝顔をジッと見た…
長い睫毛とこのフワフワの髪も…
変わらない。
…仁さん、私は秋雨に近付けたかな…
静かに服を着て、そっと彼の部屋を後にした。