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せめて夢の中だけでも
第10章 真っ黒な空

「何…」


さっきの相手とはまるで違う
不機嫌そうな声だった。



「仁さん…まだ7時なんだけど!」



…仁さん…


電話の相手が仁さんだと解ると
何故かとってもホッとした。



「えー…また今日も店?俺休ませてよ。」


「わかった…ハイハイ」



電話が終わると彼はベッドの中へと戻ってきた。



私にキスをすると
「おやすみ」といってまた反対側を向く。



相当疲れているのか…すぐに寝息へと変わっていた。





私はそっとベッドから降りると
彼の寝顔をジッと見た…



長い睫毛とこのフワフワの髪も…
変わらない。



…仁さん、私は秋雨に近付けたかな…




静かに服を着て、そっと彼の部屋を後にした。
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