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やさしいキスをして?
第8章 キスの先?
***
ゆうひの部屋。
久しぶりに入ったその部屋は、ゆうひの匂いに満ちていて。
床には投げたままの鞄。
机には読みかけの漫画。
椅子には脱ぎ捨てたスウェット。
ゆうひが生活していた空間に入り込んで。ゆうひが今日、目覚めた布団に身を沈める。
『あさひ…』
耳元であたしを呼んで、ゆっくりと抱きしめてくれる。抱きしめられたことくらい、今まで何度もあるのに。こんなの初めてって位、ゆうひを近くに感じる。
『あさひ…』
ゆうひの声。あたしの名前を言ってるだけなのに、頭の奥がボーッとして、胸がギュッとなる。その声が切なくて、あったかいから。もっともっと、ゆうひの声であたしを呼んで欲しい。あたしをもっと、熱くして…