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やさしいキスをして?
第10章 番外編
『じゃあ僕はそろそろ…』
『うん、あたしも…て、あれ?』
互いに部活へ行こうとした途端、倉田さんが立ち止まる。その視線の先には…
『ゆうひとマドカ…?』
ここと同様、ひと気のない屋外の渡り廊下に佇む二人の姿。
『何だろ、行ってみる?』
『え、いや…』
そう言いつつも、足が自然とそちらへ向かうが…
『…あ、ちょっと待って?そういえばあたし、今日は一年の指導係り当たってたっけ!?やば…すぐ行かなきゃ!』
独り言を呟いたかと思えば、倉田さんは突然走り去り…僕だけが中途半端に取り残されてしまった。終始、勝手に騒がしい人だな…
(まぁ、僕もさっさと部活に…)
そう踵を返した時だった。
『……好き。』
微かに聴こえた園山さんの声。
『……好きなの。』
今度ははっきり聴こえ、思わず立ち止まりそうになる。けれど僕は、振り返ることなく部活へと急いだ。