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やさしいキスをして?
第10章 番外編
『──味覚、ですよ…』
まるで鼓膜をくすぐるような。耳元の吐息に、頭が甘く痺れて。全身の力が抜けていく…
『まどかちゃん…』
肩を掴んで引き離されると…恥ずかしくて顔が見れない。うつむく私の視界は、啓太くんの制服。夏服の白いシャツ、胸のポケット、リボンと同柄のネクタイ、襟もとから伸びた首、薄い唇、とおる鼻筋、澄んだ瞳……
いつの間にか…頬を包む手のひらに導かれて。よぎるのは昨日の保健室。重なる予感に、自然と鼓動が早まって………