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やさしいキスをして?
第12章 おまけ〈マドカ〉
……ボーン……ボーン……
荘厳に響き渡る除夜の鐘の音に、いよいよ年越しムードも佳境を迎える。長い石段を登った先。本堂前で打ち鳴らされる大鐘の様子に、ゆうひくんは一人深い溜息をついた。
『この感じだとさぁ〜…おれらがお参りできるのって、当分先だよな?』
本堂から続く参拝客の行列は、かなりの大人数。私達の番までは、年が明けてからも暫く時間がかかりそうだった。
『…何よ。遅れて来たあたしを責めてんの?』
『いやいや違うって!おれが言いたいのはさ…腹減らねーか?ってこと!』
そうして指を指すのは、脇に連なる屋台たち。
『ちょこっとさ、おれ買出しに行ってきていい?石段まで進んじゃったら、屋台まで降りらんなくなるし。今がチャンスだと思うんだよな。』
背伸びをして、ウキウキ屋台を見やるゆうひくんを尻目に。私達は一斉に口を開いた。