この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
やさしいキスをして?
第12章 おまけ〈マドカ〉
『ばかね!この人混みかき分けて進むとか、あり得ないでしょーが!あんた迷子になりたいの?!』
『倉田さんの言う通りだ。行ったとして、ここまで戻って来れなくなるぞ。やめておけ』
『もうすぐ年明けだよ?はぐれちゃったら、一緒に来た意味ないじゃない。』
全員一致の反対。それでもゆうひくんはヘコたれない。
『んなこと言ってもよ〜…減ったもんは減ったし。あさひだって小腹減ってんだろ?』
『そりゃー…でもダメ!我慢しなさい。』
『だーいじょーぶ!いい考えがあるんだ!』
にぱっと笑ったゆうひくんは、何やらあさひに耳打ちをした。あの顔…何かイタズラを思いついたみたいね…
『んじゃ!行ってくっから!』
あさひの肩を抱いたゆうひくんは意気揚々と片手を挙げた。どうやら…あさひを病人に見立てて、スムーズに道をあけてもらう作戦!らしい。
『……バチあたりな奴だ。』
『……あれでいて、真剣なんだけどね。』
二人の後ろ姿を見送った私達は、やれやれと息をついた。