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やさしいキスをして?
第14章 おまけ〈マドカ②〉


バリッ…


開いた口が塞がらない私を尻目に、チエちゃんは、おつまみを開封した。


『前にね、トオルがうちの部屋に泊まった時、そーいう雰囲気になったのよ。別にアタシも拒むつもりはなかったし。でも…』


ぽりっ…とかじった柿の種。チエちゃんの瞳が、ちょっと悔しそうに細まっていく。


『やめちゃったんだ、途中で。さあいざ…!って時になって。』


その時のことを思い出しているのか、それともお酒か。何となくチエちゃんの頬は、ほんのりと染まって見えて。


『…聞いても大丈夫?
やめたのは…どうしてなの//?』

『泣いたから。』

『えっ…?』

『アタシ泣いたの。こわい、いやだ、やめてって。直前までドキドキしてたくせにさ…』

『…………』

『そこで初めてバレたわ。トオルに、アタシが経験したことない女だってこと。もうね…嫌だった。とにかくその場から、消えてなくなりたいって思ったわ…』



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