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やさしいキスをして?
第14章 おまけ〈マドカ②〉

『啓太くんも食べる?はい、あーん』
『え!ええっ…///?!』
固まった啓太くんに、思わず吹き出しそう。
『あ、ゴメンね?いらなかった?』
行き場のないお肉は、ペロッと私が戴いちゃう。…っていうか。思えば“あーん”なんて、今までやったことなかったっけ。何で急にやったんだろ、私…あれ、もしかして酔ってる?(笑)
『あの…別に、いらないとは…言ってない…けど…///』
モゴモゴとのってきた啓太くん。
それも珍しいけど…
『あ…ふふ、お酒の力だ(笑)』
なるほどね、啓太くんも飲んでるみたい。
缶ビールが握ってある。
『何を笑ってるんですか…』
『ううん、なんでも…あーんする?』
夏の夕焼け。空に残る水色に、赤く広がる雲が、鮮やかに照らされて。ベランダの隅。川の音もみんなの笑い声も、少し離れたこの場所で。
『ふふ、おいしい?』
『…………大変、おいしいです//』
啓太くんの照れた顔を見て、思った。
「二人の歩調を合わせていくのが恋愛」
私は少し、焦っていたのかもしれないな…って。

