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やさしいキスをして?
第16章 おまけ〈三島②〉
『ねぇ啓太くん…』
『うん…?』
彼女の部屋で、試験勉強中のある日のこと。息抜きに淹れてくれたコーヒーを手にすると、対面するまどかちゃんが、おずおずと尋ねてきた。
『あの〜…ちょっと私のこと、呼んでみて?』
『……?まどかちゃん。』
ズズ…
『うぅ〜んと…違う呼び方で☆』
『園山さん?』
『じゃなくて!』
『園山まどか様。』
『ちっがぁーーう!!』
なぜかソワソワした様子の彼女は、ぷくっと頬を膨らませた。
『ははっ…どうしたの?』
そこをつつくと、さらにむくれてしまう。こんな風に、彼女は付き合い始めた頃よりも色んな表情を見せてくれるようになった。どんな彼女も愛らしいが、特にこの拗ねた表情はまどかちゃんを幼く見せて、より可愛らしいと思う。強いて言うなら、笑顔の次に好きな表情…だろうか。