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旦那様☆ロマンチスト
第9章 ご乱心な奥様


「…何処かへ出かけるところなのか…?」


 ―――もしや…家を出るつもりじゃ、ないだろな?


 思わず聞いた俺の言葉に、「ううん、話するんでしょう?」そう言って、樹菜は小首を傾げて俺を見つめた。


 「行くなよ、何処にも」


 その儚げな仕草に、俺は思わず樹菜を引き寄せた。いつものみーなに会いたかった。俺の愛しいワンコに。会いたいという気持ちを込めて、樹菜を腕の中に閉じ込める。


 ―――あれ…?


 いつもなら、俺が抱きしめれば、ギュッと抱き付いてくるみーなだった。なのに、俺が抱きしめても、樹菜は人形のようにじっとしたままで。

 想いよ届け――――そう願いながら、俺は抱き締めた腕に更に力を込めた。



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