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旦那様☆ロマンチスト
第8章 覚悟を決めた奥様
書いている姿を想像しては、その文面を何度も何度も読み返し、その文字を指でなぞる。アナログなその手紙は敏さんの気配を色濃く残したままだったから、なんだかとても切なくなった。
―――帰宅したら、きちんと話をしよう。
いよいよ、敏さんからその言葉を切り出されてしまうのだろうか。
敏さんは浮気ができる程器用なひとじゃないってことは、私が一番良く知っている。
多分・・・何度もチャンスはきっとあったのだ。でも、敏さんと向き合いたいのに、向きあわなきゃいけないのに、現実と向き合うのが怖かったのは私の方。
悩んで…落ち込んで。ここ数日の私は泣いてばかりで、向き合うことから逃げ出していた。
敏さんの愛情が、私じゃない他のひとへと移ってしまった現実を認めるのは、やっぱり凄く苦しい。いざ、その時が近づけば逃げたしたくてたまらないのに‥‥。