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旦那様☆ロマンチスト
第8章 覚悟を決めた奥様
―――でも、逃げないって決めたでしょう。
結末はすでに見えていて、もう手遅れな気がする。
でもこのまま、意気地無しのまま別れるのは嫌だった。
「よし!やるか!」
私はパジャマから着替えると、主婦の戦闘服であるエプロンを締める。後ろ手に紐をキュっと結ぶその普段通りの作業に、不安な気持ちは少しだけ静まるような気がする。
この家で敏さんと二人気持ち良く暮らせるように頑張ってきたのだ。
だから――――二人で過ごしたこの家を綺麗に掃除することは、敏さんへの愛の証。私はいつもより丁寧に掃除をすることにする。
玄関を掃き清めて、廊下を雑巾がけをして。リビングの埃をハンディモップで落として、掃除機を掛け綺麗にしていく。
寝室のシーツやまくらカバーも交換し、布団も干してフカフカにして。キッチンのシンクを磨き、レンジを掃除し、お風呂場もトイレもピカピカにしながら、年末の大掃除みたいだと思った。
手を動かし、掃除をしている間は無心になれる。終わった頃には、その達成感からか気分も少し上向きになっていた。