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恋のリサーチ
第3章 小さな恋の芽

今日はいつもより5分早くカフェに着いた。
なんだかここに来るのが待ち遠しくて
決まった時間を無視して自動ドアの前に立つ。
機械音が半音高く聞こえたのは、
私の気分のせいかもしれない。
注文をする前に
まず店内を見回す。
いた。
聖夜は腕の時計を気にしている、ように見えた。
もしかして私の来る時間を・・なんて
新しい妄想のネタの出だしが決まったみたい。
注文したコーヒーを受け取り、よそ見をしている
聖夜にそーっと近づく。
まだ気がつかない。
私は不意を衝くように声をかけた。
「おはようございます」
あの日の私のようにぽかんと口を開け
顔をあげた聖夜。
素の彼は、鋭い視線などめったにあらわさないような人
なんじゃないかと思えた。
ほんとうはとってもおだやかな人なんじゃないか、と。
「お~なんだよ、時間よりも早いじゃん」
私だということを確認すると、
いつもと変わらない、といってもまだ2回しか見ていないが、
堂々とした上から目線で見上げてきた。
それにしても・・
私のいつもの時間、をわかっているなんて、
この人はいったいいつから
私のことを見ていたんだろう・・?

