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トラワレテ…
第5章 欲情
ユリは自分のベッドでゆっくりと目覚めた。


「ふわぁ〜…ん〜!よく寝たぁ…。」


ベランダの窓を開けると、秋晴れの澄んだ空気に思わず深呼吸をする。


(やった!いいお天気だぁ〜!)


布団を干しながら、ふと目を遣ると今までは気付かなかった馨のマンションが見えた。


(ふふっ♬ホントに近いんだ…。)


見えなかったものが見えるようになった様な、不思議なキモチだった…。


軽めの朝食をとり、バスルームに向かった。



少し熱めのシャワーを浴び、お気に入りのボディークリームを全身にたっぷりと塗る。

(んー♡ いい匂い…。)


香水よりも優しい香りが意外と長く香り、しっとりとしたテクスチャーが気に入り、つい先日もリピート買いしたばかりだ。


バスローブ姿のまま、いつもよりゆっくりと丁寧にメイクをし、長い髪を乾かす。


今でこそ、カラーリングいらずのこの髪色に助かっているが、生まれつき茶色がかった髪が子供の頃は本当に嫌だった。

陽の光に透けてキラキラと光る髪に女の子達は羨ましがったが、男の子にはよくイジメられた。

幼いユリにはそれが、淡い恋心の裏返しだとは知る由もなかった。


肩口が少し開いた白いニットワンピに袖を通し、軽く髪を巻き、鏡の前に立つ。


(よし!大丈夫…だよね?!)



「わっ!もうこんな時間?!」


急いでマンションを出ると、ちょうど一台のスポーツカーが前に止まり、馨が降りてきた。

「ユリちゃん!こっち!」

「馨さん?!昨日と車が違ってびっくりしました///


「ははっ。ドライブにはコイツなんだよ!」

真っ白なスポーツカーをポンポンと叩き、少し照れた少年のような笑顔にキュンとする。


「さ!行こうか。」

エスコートされるまま、ドキドキしながら車に乗り込んだ。


「ユリちゃん今日もかわいいね。」

「えっ?あ、ありがとうございます…///変じゃないですか…?」

「クス。とんでもない!かわいいよ。よく似合ってる。」


(は、恥ずかしい……///)
























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